海士町の福祉施設で勤められている、渡邊さんにお話を伺いました。
このバットですね。これは元日本ハムの選手である川村選手が現役時代に使っていたバットで、彼は高校時代の野球部のチームメイト。少学校時代から噂は聞いていたけれど、高校でも頭一つ抜けたような選手だった。彼とは家までの帰り道が同じで話すようになり、仲良くなったんだよね。高校は甲子園常連校ということもあり、僕はレギュラーにはなれず。そんな時、川村君が「お前のグローブを貸してくれ。ずっとお前と一緒に頑張ってきたんだから、甲子園で使うから」と言って、僕のグローブをはめて甲子園に出てくれ、ファインプレーも(笑)。それからこのバットをもらったんだ。でも彼は7年前に朝に突然倒れ、帰らぬ人になってしまった。
渡邊さんにとって川村さんはどのような存在でしたか?
彼はずっと親友のような存在だったね。どんなことがあっても、味方でいてくれていたから、彼といると安心できたね。だから、僕も”安心感を与えられるような存在”になれたらいいなとも思っていた。海士町に移住する時に、茅ヶ崎の持ち家には、彼のこのバットをあえて置いてきた、この家を見守ってほしくて。川村君が生きたかった今日を大切に生きなきゃと感じています。彼に恥ずかしくない生き方を。川村君がオレには唯一無二の親友だったからね。それは今も変わらない。

