2年前に大人の島留学で来島され、学習センターで働かれていた、慧さんにお話を伺いました。
私の思い出の物は絵本です。今持ってる「Butterfly Child」っていう本は、イタリアのボローニャで毎年開催してる国際絵本市に2023年に行ったとき、原画を見て一目惚れした本なんだ!絵本は子どもの頃にも読んでいたけれど、大人になって読み返したときに、子どもにもわかるように書いてある言葉だからこそ、心にすうっと入ってくるものがあるんだと気づいたと同時に、こんなに感じ方が変わるんだと驚いた。中高の頃は本が本当に苦手で、読書感想文すら読むのが嫌で、国語も苦手だったんだよね。「話に起承転結がない」と言われることもあって、文章にアレルギーがあったくらい(笑)。でも、人と話すことは好きで、物語に惹かれる気持ちは残っていた。大人になって絵本を読むと温かさや深さがより感じられて、自分の気持ちと重なる瞬間が多いことに気づいて、それから絵本を読むようになったね。
大人になって、あらためて絵本に触れるようになったきっかけは何だったんでしょうか?
絵本を読み始めたのは、大学に入ってから。大学の授業は全部英語で、授業内容自体もついていけていないのに、意見も求められること、高校でアメリカ留学をした時に憧れていたチアも、サークルで始めてみたら、体育会系の空気が強くて、そこにも全然合わなかった。そういうのが積み重なって、入学してすぐのゴールデンウィーク明けに大学に行けなくなって休学した。もともと明るくて学校が好きだったから、親もびっくりして、そこから家に引きこもる時期もあったんだよね。そのとき「そういう時期もあるよね」って否定せずに見ててくれた高校の恩師で恩人・かっきー。その人の存在が本当に大きかったんだけど、その方に連れられて一緒に絵本屋さんに寄ったのが、絵本と出会い直す最初のきっかけだった。
実際に本屋さんを訪れた時、どんなことが印象に残りましたか?
かっきーが連れていってくれたのが、吉祥寺にある「緑のゆび」っていう本屋さん。絵本を見ていた時に、店主のおじいちゃんにとっても自然に「どういう関係?」って聞かれて、「高校の恩師です」って答えたら、「恩師って言葉が残ってるのは嬉しいね」って言われて。そのひと言がすごく印象に残ってる。そこで久しぶりに絵本を開いて、子どもの頃に読んだ『ぐるんぱのようちえん』という絵本を読んだら、大人になった今は全然違う読み方になってて、言葉の受け取り方とか居場所の感じ方がグッと刺さったんだ。
今の慧さんにとって、絵本はどんな存在ですか?
そうだね。緑のゆびで「絵本セラピスト」というものを知って。これは絵本について話すことで、その登場人物に自然に自分を投影して話すから、自分の本当の気持ちを自分を入れずに対話ができるっていうもの。自分のことを直接話すのは難しくても、「この登場人物、こう思ってる気がする」って言ってるうちに、気づいてなかった自分の気持ちにも気づけたりする。絵本のやさしい世界を通すことで、心が少しほぐれるような感じがして、その考え方がすごくいいなと思って。だから私にとって絵本は癒しであり、自分に気づくものでもあるんだ。

